管理組合の皆様

管理組合運営のQ&A

管理規約とはどういうもの?

一般にいう「管理規約」とは、区分所有法の「規約」のこと。マンションにおいて建物・敷地・附属施設の管理についてや、区分所有者間の事項について定めている管理組合(区分所有者の団体)の最高自治規範(区分所有法第30条)で、マンションの憲法ともいわれています。区分所有法上では管理規約の設定は任意で自主ルールですが、マンションの共用部分の維持管理に関する、複雑多岐な事項を定めるものですから、管理規約の設定は必要不可欠といえます。

管理規約の効力とは?

「管理規約」は、マンションの管理や使用に関する基本的なルールを定めたものですから、設定・変更・廃止は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数決による決議が必要です。
管理規約の効力は、
  1. その設定・変更・廃止について反対であっても、総会で有効に決議されると、反対や棄権をした者にもその効力が及びます。
  2. 区分所有者、その家族、同居人はもちろん、相続人等(包括承継人)や、売買等で新たに入居した人(特定承継人)にもその効力が及びます。
  3. 賃借人や会社の社員寮として専有部分を使用している社員などにも、マンションの使用方法について効力が及びます。管理規約を知っているかどうかは、関係ありません。

普通決議と特別決議の違いは?

総会での決議には「普通決議」と「特別多数決議」の2つがあります。
区分所有者にとって重要な事項を決める際には、特別多数決議が必要になります。たとえばマンションの敷地にある芝生を削って駐車場を増設するなど、管理規約を変更したり新たに定める必要があるときは、特別多数決議で決めなければなりません。特別多数決議は、区分所有者および議決権の各4分の3以上(建替え等の場合は5分の4以上)の多数決で成立させる方法をいいます。
区分所有者および議決権のそれぞれ過半数で成立させるのが普通決議です。管理規約に別の定めを設け、出席組合員の議決権の過半数で決める、などとすることもできます。

総会に出席できない場合の委任状とは?

総会の招集通知に、議案書や出席通知といっしょに委任状を添付しているケースが多く見られます。総会における議決権は、区分所有者本人が総会に出席して自ら行使するのが原則ですが、総会に出席できないため、やむをえず代理人に託す委任状で、自分の議決権を行使することができます。この場合の代理人の資格について法制上の制限はありません。区分所有者は誰を代理人にするか自分で決めることができます。

複数で共有する住宅の議決権は?

総会の議決にあたって区分所有者の人数の計算は、1人でいくつもの専有部分を所有していても1人と数え、逆に複数で1つの専有部分を共有していても1人と数えます。
また議決権数の計算は、専有部分の床面積の割合によるのが原則ですが、これだと複雑になりすぎるため、規約で「1住戸で1個の議決権を有する」と定めていることが多いようです。

協定と細則の違いとは?

まず「協定」とは、公団型団地管理組合規約標準例では「住宅等の模様替え及び修繕に関する協定」、「共同生活の秩序維持に関する協定」、「専用庭の使用等に関する協定」が、いっしょに規定されています。これらの協定は「この協定は、『建物の区分所有等に関する法律』(昭和37年法律第69号)第65条に定める『規約』とする。」と規定され、協定も規定のひとつという位置づけにしています。この協定による規定方法は公団型団地管理組合規約標準例独自のものであり、マンション標準管理規約にはありません。公団型団地管理組合規約標準例は、条文数がマンション標準管理規約よりも少ないと解釈している方がいらっしゃいますが、これは協定が規約の一部であるという位置づけを見落としているかもしれません。協定の設定・変更・廃止の手続きは、特別決議が必要です。
「細則」は、区分所有法には何の規定もありませんが、マンション標準管理規約で定めた事項の<詳細>で、<具体的な事項や手続きを定めた>ものです。細則の設定・変更・廃止は「普通決議」により総会の過半数決議で議決できます。

自治会と管理組合の違いとは?

自治会と管理組合は、その目的が異なります。管理組合は共有財産の維持保全及び共同生活の秩序維持を目的とします。自治会は住民の相互親睦及び地域活動の向上を目的とします。
管理組合は区分所有者によって当然に構成され、任意の脱退は許されません。一方、自治会は賃借人を含むそのマンションの居住者によって構成され、加入・脱退は任意です。両者の関係は車の両輪のようにあるのが理想的です。

区分所有者が所在不明のときは?

原則として「管理組合総会(定時および臨時)」の通知や議案書を区分所有者に送付するとき、区分所有者が管理組合にそれらを受け取る場所を通知している場合は通知場所に送付します。通知がない場合は区分所有者の専有する住宅に送付します。またマンション内に住所がある区分所有者や総会通知等を受取場所を管理組合に通知していない区分所有者に対しては、(規約で特別に定めた場合)マンション内の見やすい場所に掲示することで通知したとみなされます。
区分所有者が組合に対して現住所の届けを通知せず所在不明の場合は、不動産登記事項記載などで現在の所有者と住所を確認する必要があります。
区分所有者の所在不明を放置すると、長年の間に行方が分からなくなり、重要な決議をする際に支障が出る場合があります。

管理費等の滞納対策にはどんな方法が?

管理費等の滞納対策としては、次のようなものが考えられます。

  1. (1)
    広報等により管理費等がどのように使われているのかを理解してもらう。
  2. (2)
    収納方法をできるだけ自動振替にする。
  3. (3)
    管理規約のなかに遅延損害金の規定を設ける。
  4. (4)
    内容証明、支払督促、小額訴訟、訴訟等の費用を滞納者に請求できる規定を設ける。

議事録の閲覧を請求されたら?

区分所有法第30条では「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」としています。また管理組合の総会は組合運営の重要な事項や区分所有者間の管理に関する事項を決めることから、管理組合の最高意思決定機関といわれており、議長(理事長)は議事の要領及びその結果を議事録として作成し、保管しなければならないことになっています。
これら規約や議事録は、利害関係人から閲覧の請求があったときは、正当な理由がない限り閲覧を拒んではならないとされています(区分所有法第33条第2項)。この規定は、規約及び議事録が区分所有者はもちろんのこと、それ以外の利害関係人にも影響を及ぼすことから、これらの人々にも閲覧の機会を保障するために定められたものです。
ここでいう利害関係人とは、
  1. 区分所有者である組合員。
  2. 組合員の住宅の賃貸借契約を締結している正当な占有者
  3. 売買等によって区分所有権を取得しようとする者
  4. 管理組合または区分所有者に対し債権を有している者
  5. 管理組合と取引をしようとする者
  6. 区分所有者から依頼を受けた宅地建物取引業者
などのことです。
ただし、組合員以外の利害関係人から会計帳簿や財産目録、組合員名簿を求められた場合は、閲覧拒否できるものと考えられます。

長期修繕計画とは?

長期修繕計画とは、マンションの各部位の耐久度に合わせ、長期的な展望にたって、あらかじめ策定しておく修繕計画のことです。
コンクリート造の建物は堅牢に見えるため、普段の生活に直接関係のない雨漏りや漏水、外壁のはがれなど、目に見えない傷が現れるまで放置されがちです。建物が建てられた年代や工法による違い、仕様、部品の差異があるため、耐久性がまちまちな上に、管理組合の意向や資力などの要素も加わって、適正な時期に修繕を行おうとしても困難な場合もあります。その結果、痛んだ状態のままで放置されたり、資産価値が減少するなどの状態になりかねません。そのような事態にならないよう、長期修繕計画の策定期間は新築時に30年、それ以降は25年を目安として定めます。また5年ごとに計画を見直すことも適切な管理をしていくうえで重要なことです。さらには、過去からの修繕工事の履歴情報を確実に管理することにより、その情報を長期修繕計画や大規模修繕工事に反映させ、より適切な維持管理に結びつけることができます。

修繕周期の目安について

放置自転車をどうしたら?

年数を経ることによって自転車の保有台数が増えて、通路などに放置するケースが起こった場合、環境の悪化だけでなく緊急車両の通行の妨げになるなど問題です。多くの管理組合で採用されている対策法が「登録制」。管理組合に保有自転車を登録し、登録ステッカーを貼付することによって区分所有者の管理意識を高めることができます。ステッカーの無い自転車は、一定期間掲示したうえで区分所有者が不明な場合、理事長が遺失物として警察に引き渡すことができます。このほか「戸当り所有台数の制限」「駐輪機の設置」「共用自転車の活用」「自転車置場の有料化」などの対策法があります。「自転車置場の有料化」にともなって区分所有者が支払う料金は、管理組合の収入になります。

消防点検にはどんな項目が?

マンションは多くの人が住む共同住宅です。このため消防設備点検が義務付けられています。
  1. 半年に1回→外観機能点検といい、消火器・火災報知機・誘導灯など、消防設備が適正に配置されているか、損傷がないかを告示で定める基準に従い確認します。
  2. 1年に1回→総合点検といい、屋内消火栓・火災報知器・スプリンクラー設備などや配線を確認します。
  3. 3年に1回→マンションは非特定防火対象物となり、3年に1回、消防署への報告書提出が必要です。また、収容人員が50人以上のマンションには防火管理者が必要です。区分所有者のなかから選び、消防署の講習を受けて防火管理者に就任します。

給水管の耐応年数はどのくらい?

給水管等の耐用年数については、(財)建築保全センターによると次のように記されています。

  1. 塩ビライニング鋼管(給水)/25年 
  2. 銅管(給湯)/30年
  3. ステンレス管/30年
  4. ポンプ/25年~30年
  5. 貯水槽(FRP)/25年

管そのものの劣化を調査するには、近年、内視鏡検査やX線検査などの非破壊検査が主流です。
管内部については、配管を新しくする「更新工法」と、管内に高圧空気と研磨剤を送って錆や汚れを落とし、内面にエポキシ樹脂を塗布する「更生工法」があります。ただし「更生工法」を採用するには、配管そのものの強度が必要なことから、劣化診断が欠かせません。